なぜ通帳を預かっただけで9200万円も引き出せたのか?銀行の構造的問題と今後の対策をわかりやすく解説します。
😨 銀行で9200万円が4年間も消え続けた──誰も気づかなかった理由とは?
📌 気になるポイント
📌 | ✨ 気になるポイント |
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📢 【4年越しの着服事件】 | 顧客の信頼を利用した不正がなぜ続いた? |
❓ 【通帳と暗証番号が狙われた】 | 通常業務が“犯罪の入り口”になる現実とは? |
🎤 【過去にも類似の不祥事】 | 同銀行では今年すでに2件目──偶然ではない? |
📸 【被害者は高齢者】 | 預けた通帳が戻った時、すでに残高は…? |
📺 【信頼をどう取り戻す?】 | 銀行が打ち出した“相談窓口”と監査強化の行方 |
▶ この事件の本質を知らずに銀行を信じていいのか?──次のページで真相を追います。
十八親和銀行で再び不正発覚 顧客の信頼を裏切った元行員の4年間
なぜ、再び同じような不祥事が起きたのか?
「またか…」という声が、銀行の窓口や地域から漏れ始めています。
長崎市に本社を構える十八親和銀行で、またしても重大な着服事件が発覚しました。
元行員(32歳)は、2020年6月から2024年10月にかけて、高齢顧客の通帳と暗証番号を預かったうえで、ATMから複数回にわたり計約9200万円を不正に引き出していたというのです。
驚くべきは、その不正が約4年間も気づかれずに続いていたという事実。
この問題には、銀行の管理体制だけでなく、もっと深い「個人と組織の盲点」が潜んでいました。
通帳預かり業務に必要な制度設計とは?
こうした“慣例”を根本から見直すには、明確なガイドラインの制定が不可欠です。
たとえば、通帳預かりは原則禁止とし、特別な事情がある場合のみ「預かり依頼書」と「本人確認書類」の提出を必須とするなど、明文化された運用ルールが求められます。
また、暗証番号の聞き取りは一切禁止とし、顧客が自ら操作できない場合は、家族や法定代理人の同席を推奨する運用に切り替えるべきです。
制度そのものを刷新しない限り、こうした問題は“個人のモラルの問題”として処理され続け、組織的な解決には至りません。
発覚のきっかけは、たったひとつの“違和感”だった?
事件が表面化したのは、ごく日常的な相談からでした。
顧客が返却された通帳を見て「残高が減っている」と気づき、銀行に問い合わせたことで、不正が明るみに出たのです。
その後、銀行が内部調査を開始し、元行員の着服が発覚。2025年3月24日付で懲戒解雇され、県警に通報されました。
信頼して通帳を預けていた顧客にとって、その裏切りは言葉にできない衝撃だったはずです。
① 顧客から通帳を預かる
↓
② 「残高確認」などの口実で暗証番号を聞き出す
↓
③ ATMから本人に成りすまして現金を引き出す
↓
④ 顧客には通帳を一時保管したまま返さず保留
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⑤ 顧客が通帳を返却された際に異変に気づく
↓
⑥ 銀行に相談 → 内部調査で不正発覚
なぜ行員は顧客の資金に手を出したのか?
元行員は、調査の中でギャンブルや多額の借金返済に資金を流用していたと供述。
返済の目処が立たない中でも、顧客からさらに資金を借りようとする行為も行っていたといいます。
「借金があるから、盗んでもいい」という理屈がまかり通るはずがありません。
しかし、その思考が数年にわたり組織の中で見過ごされてきたことに、危機感を覚えざるを得ません。
行員の適正リスク比較
比較項目 | 通常の行員 | 不祥事を起こした行員 |
---|---|---|
金銭管理能力 | 安定した資金感覚と計画性 | ギャンブル依存・多重債務あり |
顧客対応姿勢 | 誠実かつ慎重に対応 | 個人の事情で虚偽説明や借金依頼 |
通帳の扱い | 通帳は必要最小限で管理 | 長期預かり+無断使用 |
暗証番号の取扱い | 絶対に聞かない・触れない | 顧客から聞き出して悪用 |
組織的監視への対応 | 規則を順守し監査に従う | 監査をすり抜ける行動パターン |
なぜ繰り返されるのか?銀行組織の盲点
行内では、「通帳を預かる」「暗証番号を聞く」といった行為が“慣例”のように存在し、それが監査で見落とされていた可能性があります。
特に地方銀行では、対面での信頼関係をベースにした業務が多く、チェック機能が形式的になりがちです。
被害者はどう感じているのか?
被害にあったのは、高齢の顧客です。
預金の運用や管理を信頼して銀行に任せていたにもかかわらず、その信頼は深く裏切られました。
銀行としては個別に対応する姿勢を見せていますが、具体的な補償内容については調査中とされており、被害者の不安が払拭されたとは言い切れません。
高齢顧客の「信頼喪失」と不安
実際に被害にあった高齢の女性は、通帳を行員に預けてから約2年間、その存在を気にも留めていなかったといいます。
「信頼していたし、面倒だから任せていた」と語っており、銀行職員=安心という認識が強かったとのこと。
しかし返却された通帳には、見覚えのない引き出しが複数回記録されており、残高はほぼゼロ。
女性は「まさか自分が被害者になるとは思わなかった。夜も眠れず、誰を信じればいいのか分からなくなった」と語っています。
出典:毎日新聞
短期間で2件目 このままでは信用が持たない?
実はこの不正、今年だけで2件目の着服事件です。
2025年2月にも別の行員が数千万円を着服した事件が発覚しており、短期間で同様の不祥事が続く異常事態に、地域の信用も大きく揺らいでいます。
銀行は監査の頻度を週1回に強化し、職員への相談窓口の新設などを進めていますが、果たしてそれで十分なのでしょうか?
【銀行内部の盲点と信頼の崩壊】
ポイント | 内容 |
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✅ 顧客の通帳を預かる運用のリスク | 暗証番号を聞き出す“慣習”が不正を可能にした |
✅ 4年間も発覚しなかった構造 | 通常業務に紛れた不正が監査の網をかいくぐった |
✅ 被害者は高齢者、信頼は一瞬で崩壊 | 預金を任せていたはずが、残高はゼロに |
後半の注目ポイント:
銀行が打ち出した再発防止策の中身とは?
信頼を本当に回復するには何が必要か?
金融業界全体に求められる制度改革とは?
現場で何ができるか?再発防止の実効性
単なるマニュアルの見直しではなく、「通帳を預かること自体が高リスクである」という意識改革が必要です。
顧客の「通帳預かり」をやめる、または預かる際は第三者監査記録を義務化するなどの具体的制度が必要とされています。
銀行側の対応は“信頼回復”につながるのか?
十八親和銀行は、今回の事件を「極めて遺憾」と表明し、再発防止策の強化と内部管理体制の見直しを進めるとしています。
また、親会社のふくおかフィナンシャルグループも、行員向けの相談窓口や監査機能の見直しなどを含め、グループ全体での対応を強化する姿勢を示しています。
しかし、言葉だけでなく、顧客が“安心して預けられる”と感じられる具体策と透明性こそが求められています。
信頼回復に必要なのは“透明な報告”と“定期的な検証”
✅ 報告書は形式ではなく「公開」がカギ
銀行が掲げる「内部監査の強化」や「再発防止策の徹底」という文言は、一見誠実だが、その具体的な中身が開示されない限り、顧客には響かない。
どんな対策が、いつから、どの支店で実行されたのか?それを定期的にレポートとして公開する体制こそが、信頼再構築への第一歩だ。
✅ 外部監査と相談件数の“見える化”を
さらに重要なのは、外部からのチェックと、行員がどれほど相談窓口を利用しているかの開示である。
表面的な制度だけでなく、実際の運用状況を「数値」として公表することが、世間の信頼を得るうえで不可欠だ。
形式的な改革ではなく、「運用の透明性」が今、問われている。
今回の事件から学ぶ5つの教訓
ポイント | 内容 |
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✅ 信頼は簡単に崩れる | 長年の信頼関係でも、1つの裏切りで一気に崩壊する現実。 |
✅ 通帳預かりはハイリスク | 慣例的な運用が、不正の温床になる可能性がある。 |
✅ 内部監査に“限界”がある | 組織の枠内だけでは、個人の暴走は止められないことも。 |
✅ 顧客は守られるべき存在 | 特に高齢者は銀行の対応に100%依存しているケースも多い。 |
✅ 本当の対策は“行動”にある | 言葉だけでは信頼は戻らない。制度変更や透明化が必須。 |
よくある質問(FAQ)
Q:なぜ4年間も気づかなかったのか?
A:日常的に顧客から通帳を預かる業務の中で、暗証番号を聞き出す行為が見過ごされていたことが要因とされています。
Q:同行の信頼はどう回復する?
A:具体的な再発防止策の実行と、誠実な補償対応が鍵を握ります。
Q:同様の事例は他行にも?
A:過去には他の地方銀行でも、通帳やキャッシュカードの不正利用による事件が発生しており、業界全体に対する警鐘となっています。
Q:被害者への補償内容は?
A:現在、同行は「個別対応」としていますが、補償の詳細は調査中とされています。
「信頼という通帳」
通帳とは、数字の羅列ではなく、信頼の写し鏡だ。
元行員が奪ったのは9200万円という額面だけではない。顧客の安心、家族の思い出、未来への計画といった「見えない預金」をも着服したのだ。
4年も気づかれなかったこの構造は、地方銀行という“なあなあ”の空気の中で育まれた温室の病でもある。
制度と人間性の隙間に、金と欲と無関心が入り込んだ結果だ。
だが、最も痛ましいのは、「あの人に預けておけば大丈夫」と信じた高齢の顧客の静かな失望だろう。
信頼は、通帳のように折れ目やシミがついても元には戻らない。
そのことを、銀行というシステムがもう一度深く学ばなければ、また同じ事件が起きる。