和歌山県の岸本周平知事が2025年4月14日、知事公舎で倒れICUに搬送された。観光戦略「3つのS」や環境政策など県政の重要施策に取り組んでいたリーダーの重体に、SNSでは心配と応援の声が広がっている。
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岸本周平知事が重体 “3つのS”和歌山県政への影響と注目政策とは
2025年4月14日午前、和歌山県知事・岸本周平氏(68)が和歌山市内の知事公舎で倒れているところを発見され、意識不明のまま病院に搬送された。前日には大阪・関西万博のパビリオン開幕イベントに出席しており、展示品の神輿を担ぐなど精力的な姿を見せていた。連日の公務とイベントによる疲労が重なった可能性もある。現在は集中治療室(ICU)にて治療中であり、予定されていた公務はすべてキャンセルされた。
春の陽気と賑やかな空気のなか、目には見えない疲労が少しずつ積もっていたのかもしれない。
なぜ注目されるのか?岸本知事の歩みとは
岸本周平氏は、2022年11月の和歌山県知事選で初当選を果たした。旧大蔵省(現在の財務省)でのキャリアを皮切りに、衆議院議員として5期にわたり活動した経験を持つ。官僚と国政の両面を熟知するバランス感覚により、県政の“安定と刷新”の両立を掲げて立候補。自民党・立憲民主党・国民民主党の推薦を受け、幅広い支持を集めて圧勝した。
就任後は、県民との距離を縮めるため「おにぎりミーティング」と称した対話集会を県庁内で実施し、職員との関係構築にも力を注いできた。言葉の端々からにじみ出る穏やかさと真摯さが、じわじわと県民の信頼を集めていた。
実際、岸本知事は知事就任後から「現場に足を運ぶ」姿勢を徹底していた。県内各地の高校や農業施設、商工会議所などを積極的に訪問し、現場で直接声を聞くスタイルは“行動派知事”として県民に親しまれていた一因でもある。
和歌山観光の柱「3つのS」とは?
知事の代表的な施策のひとつが、観光戦略として掲げる「3つのS」である。
Sustainability(持続可能性):自然と共に生き、未来へ繋げる持続型観光
Serenity(静謐さ):賑わいではなく、静けさに価値を見出す滞在型スタイル
「聖地リゾート和歌山」と名付けられたこの戦略は、県内外のメディアでもたびたび紹介され、インバウンド回復の核として大きな期待が寄せられていた。
知事不在の影響と県政の行方は?
今回の体調不良により、しばらくの間は副知事を中心とした代理体制が敷かれる見通しだ。しかし、観光や経済の再建、環境政策の推進など、多岐にわたる施策の進行は一時的に減速する可能性がある。
和歌山県の約8割を占める森林資源を“資産”と捉えた岸本知事は、脱炭素社会への転換を見据え、森林を用いたカーボンクレジットの創出と取引に注力してきた。紀陽銀行との連携や企業との協定も動き出したばかりで、その先導役としての存在感は大きい。
また、若者定住と地元雇用の創出にも注力し、「和歌山で生きる選択肢を広げる」ことを信条としてきた。たとえば、県が主導する「わかやま就労応援プラン」では、移住者向け支援金や職業訓練の制度が整備され、2024年度には約230件の就労支援が実施されたという。実績に裏打ちされた取り組みとして、地元経済にも一定の成果をもたらしている。
【岸本知事が倒れる】
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【ICUで治療・意識不明】
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【公務は全面キャンセル】
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【副知事を中心とした代理体制へ移行】
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【県政の主要施策は継続路線】
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【スピード・方針判断に変化の可能性】
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【県民・関係者の不安と注目が高まる】
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【体制の柔軟性と継続力が試される】
「岸本知事体制」と「代理体制」での県政運営のちがい
観点 | 岸本知事体制 | 副知事・代理体制 |
---|---|---|
リーダー像 | 自ら現場に赴く行動型・対話重視 | 組織運営に徹する管理型(想定) |
政策決定 | カーボンクレジットや観光戦略など、本人の理念が軸 | 継続重視だが柔軟な軌道修正の余地あり |
対外的影響 | メディア露出・県民との接点が多く発信力あり | 慎重姿勢で目立たず安定感を重視か |
スピード感 | “その場で判断”する即応型 | 合議制中心で遅延リスクあり |
リスク | 情熱的で動きすぎることが体力的負担に | 受動的になると県政に停滞感も |
SNSでは心配と応援の声も
X(旧Twitter)では、知事の搬送報道を受けて、「本当にショック」「どうかご無事で」といった投稿が相次いでいる。「3つのSの政策が途切れてほしくない」「誰より県民に寄り添ってくれる知事だった」と、感情のこもった言葉が並ぶ。
一部では「万博イベントの疲労が影響したのでは」という見方もあり(FNN)、その行動力と献身が逆に心配の種にもなっていたことがわかる。県政に対する共感と不安が交差するなか、言葉にならない想いが静かに拡がっている。
FAQ:岸本知事と和歌山県政の今後について
Q:岸本知事の容体は?
→ ICUで治療中と報じられており、詳細は現在調査中。
Q:県政のトップはどうなる?
→ 副知事が代理対応を行うと見られるが、長期化した場合の判断は今後の課題となる。
Q:観光戦略や環境政策はどうなる?
→ 現行方針を踏襲する可能性が高いが、リーダーシップ不在の影響は否めない。
まとめ:回復を願いつつ、問われる県政の継続力
岸本知事の突然の体調不良は、リーダー不在の重みを県全体に突きつけた。しかし、それは同時に、組織の強さと意思が試される瞬間でもある。
「3つのS」「環境政策」「若者定着」といった未来を見据えた施策の多くは、まだ道半ばだ。だからこそ今、県民と行政が心を一つにし、想いを繋いでいくことが求められている。
岸本知事の回復を心から願いつつ、県政の継続と変化に注がれる眼差しは、これまで以上に真剣であるべきなのかもしれない。
「岸本知事は、就任からずっと動きっぱなしだった。正直、倒れるまで気づかない人だと思ってた」
(Yahooコメントより/和歌山県在住・投稿ID確認済)
「知事一人に頼りすぎてたのかもしれない。副知事ももっと前に表に出てよかった」
(毎日新聞・SNSコメント特集 2025年4月14日)
沈黙と選択の重さについて
岸本知事が倒れたというニュースを見て、「ああ、こういう人が倒れるのか」と思った。
自分の足で現場を歩き、政策を語るときは難しい言葉を避け、県民の視線に目線を合わせる。その姿勢は、昭和型の権威とも、令和型の媚びとも違っていた。だからこそ、人々の中に、静かにしみ込むように信頼を積み重ねていたのだろう。
県政というのは、案外“誰がやるか”で変わってしまう。理念だけでは動かないし、数字だけでは響かない。その間に立って“かたちにする人”の存在が、どれほどの意味を持つかを、私たちはこの不在によって思い知らされる。
行動力はときに体力を削り、献身はときに危うさを孕む。
だが、知事が示したような「現場に通う政治」は、もしかすると、今いちばん失われているものかもしれない。
いま、和歌山県政は問われている。
継承することの難しさと、沈黙のなかで選び直すことの重さを。
私たちはその選択の前に、どう言葉を持つべきだろうか。