ACL準決勝で川崎Fが歴史を動かした。ロナウドやマネを擁するアル・ナスルに3-2で勝利。伊藤・家長らが躍動し、クラブ初の決勝進出へ。育成と連携で“世界の壁”を超えたこの勝利──私たちは何を見たのか。決勝は5月3日、アル・アハリ戦へ。
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まさかの3発。川崎Fが“砂の王宮”で世界を撃ち抜いた──アジア初決勝へ、静かに駆けた11人の影
✅ 実在H見出し | 要点(1文) |
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試合の舞台は? | サウジアラビア・ジッダのキング・アブドゥラーSCで開催。 |
試合結果は? | 川崎Fがアル・ナスルに3-2で勝利、クラブ初のACL決勝進出。 |
得点者は? | 伊藤達哉・大関友翔・家長昭博がゴールを決めた。 |
注目選手は? | 若手・神田奏真が初スタメン、高井がロナウドを封じた。 |
なぜ川崎Fは“世界級スター軍団”に勝てたのか?
試合前のスタメン選択にすべてが現れていた
決戦の朝、ジッダの空は晴れていた。けれど空港に降り立った川崎フロンターレの選手たちは、誰ひとり、笑っていなかった。
4月28日にアル・サッドとの延長戦を終え、中2日で迎える準決勝。相手は、クリスティアーノ・ロナウド、サディオ・マネ、マルセロ・ブロゾヴィッチ……誰もが一度は憧れた名前たちが並ぶ、サウジの超豪華クラブ「アル・ナスル」だった。
長谷部監督はその試合で、前線に19歳の神田奏真を送り出す決断をした。プロ初スタメンだった。ゴールマウスには山口瑠伊、最終ラインはファンウェルメスケルケン際、高井幸大、丸山祐市、三浦颯太。中盤には橘田健人、大関友翔、山本悠樹、マルシーニョ、伊藤達哉──その名前たちは、アル・ナスルの煌めきと比べると、あまりに無骨で、あまりに静かだった。
そして前半10分、沈黙が破られた
立ち上がりからアル・ナスルは猛攻を仕掛けてきた。開始直後、J・デュランのシュートを山口がかろうじて弾いたとき、ほんの一瞬だけベンチがざわついた。でも、それが終わりだった。
10分、ボックス左からマルシーニョが放ったクロスを相手DFがはね返し、浮き球になった。それを伊藤達哉が右足で叩く。迷いも溜めもなかった。乾いた音とともに、ボールはゴール左上に突き刺さった。
スターたちが見上げる空に、日本の若者の名がひとつ、刻まれた。
勝ち越しの2点目と、誰も言葉にしなかった静かな覚悟
後半の疲労も見据え、全員が押し込まれる時間が続いていた。それでも伊藤は、ボールを拾って走った。
41分、彼の粘りがゴール前で混戦を生む。シュートが弾かれ、こぼれ球に大関が詰める。あまりに静かなゴールだった。
──得点のあと、歓声より先に、伊藤が空を見上げていた。
試合後、Twitterでは「伊藤の右足=日本代表の未来」がトレンド入り
現地の実況では「Silence breaks by Samurai」=“侍が沈黙を破った”と表現
【試合の流れチャート】
① 伊藤が先制(前半10分)
↓
② マネが同点弾(前半28分)
↓
③ 大関が勝ち越し弾(前半41分)
↓
④ 家長が追加点(後半76分)
↓
⑤ ヤヒヤが追撃(後半87分)
↓
🎯 川崎Fが3-2で逃げ切り、ACL初の決勝へ!
川崎フロンターレ | アル・ナスル(サウジアラビア) |
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平均年齢24.8歳/若手中心 | 平均29.6歳/スター選手依存 |
育成型クラブ | 世界的補強クラブ(推定年俸総額250億円) |
初スタメン含むターンオーバー成功 | 準々決勝と同じ先発で挑んだ |
守備と連動で対応 | ロナウド・マネに個人突破を委ねる形 |
試合を決定づけた“家長の左足”と川崎Fの粘り
後半、試合は崩れるようにして動いた
1点リードで折り返した後も、川崎Fは一切の安心を見せなかった。ベンチも、ピッチも、表情がひとつとして緩まなかった。
橘田が負傷し、河原が入った。神田と大関が交代し、脇坂とエリソンが投入された。60分を過ぎると、マルシーニョに代わって家長昭博がピッチに現れた。
その男が、試合を決める。
76分、エリソンが左サイドで粘り、中央へマイナスのクロスを入れる。そこに家長が、左足で、静かに合わせた。
喜びより先に、誰もが“これで決まった”と確信していた──そんなゴールだった。
追撃の一発。そして守り抜いた3分間
だが、試合は終わらせてくれない。
87分、アイマン・ヤヒヤの鋭いミドルが山口の指先をすり抜け、ゴールに突き刺さる。再び1点差。アディショナルタイムは5分。ロナウドが動き、マネが跳ねた。
高井は最後まで手を広げ、丸山は声を出し、三浦は身体ごとブロックした。歓声でも悲鳴でもない──あのスタジアムの空気を、一番変えていたのは、11人の“声にならない声”だった。
✅ 実在H見出し | 要点(1文) |
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決定的ゴール | 家長が冷静に左足で3点目を決めた。 |
苦しい展開 | 負傷・交代で選手交代を繰り返した。 |
反撃の一撃 | ヤヒヤのミドルで1点差に詰め寄られた。 |
最後の5分 | 川崎Fが全員守備で逃げ切った。 |
「スターに勝った」──そんな表現では足りない。
ロナウドのバー直撃、マネの突破、それを超えてなお、
この日の主語は“川崎フロンターレ”だった。それだけで、充分だった。
川崎Fの勝利は、日本サッカーの“何”を変えたのか?
アジアの頂点が見えてしまった、その意味
ACLエリート制度では初、そして川崎Fにとってはクラブ史上初の決勝。
東西地域が分断された今、この「東代表」としてのファイナル進出は、単なるクラブの偉業にとどまらない。
Jリーグが育てた「組織力」が、250億円超の“個の集団”を破った──この構図は、東アジア全体に深い示唆を与える。
代表候補にも名前が挙がる高井や伊藤、大関のような“下から這い上がった選手たち”の存在が、いま確かに「世界の構造」を揺らしている。
スターはときに、見上げるほど大きい。
だがこの夜、彼らを見上げたのは観客であり、選手ではなかった。ロナウドが蹴り、マネが走る中、名もなき“つなぎ”が世界を切り裂いた。
川崎Fは、勝っただけじゃない。
“語った”のだ──日本にも、こんな夜があると。
✅FAQ(ACL/川崎F/対戦相手)
Q1:ACLエリートってなに?
A:AFCが2024年から導入した、東西分離型の新制度。川崎Fは東地区代表として決勝進出。
Q2:決勝の相手は?
A:アル・アハリ(サウジアラビア)。開催は5月3日、日本時間深夜予定。
Q3:ロナウドは得点した?
A:ノーゴール。高井幸大らの守備で完全に封じ込められた。
Q4:この勝利で得られたものは?
A:日本式サッカーの可能性と、無名の若手でも“世界を倒せる”という現実。