広告の下に記事の続きがあります。ペコリ

4月に入社したばかりの新卒社員が、「ゴールデンウィーク明け」に続々と退職する──
その背後には、退職代行という新たな選択肢と、“信頼崩壊”という共通のきっかけがある。
本記事では、「なぜ今それが急増しているのか」を、契約構造・心理特性・社会変化の3軸から解き明かす。

 なぜ新卒者に退職代行が増えるのか？

企業と新卒者の間にあるのは、「信頼関係」ではなく「契約」のはずだった。
しかし、実際には入社直後に「話が違う」と感じるケースが多発している。

「残業なしと聞いていたのに、月80時間」「正社員採用と記載されていたのに実際は契約社員だった」──
こうした“約束違反”が、信頼を一瞬で崩壊させる。新卒者にとって、信頼の裏切りは「続ける理由」を失う瞬間だ。

退職代行の利用が特に増えているのは「入社1か月以内」。
この時期に辞める新卒者の約6割が「契約不一致または言っていたことと違う」と回答している（退職代行モームリ調査）。
言葉よりも、“現実のズレ”が先に心を傷つけている構造だ。

• 募集要項と雇用契約の不一致が頻出

• 「聞いていた条件」と「実際の業務」が大きく乖離

• 最初の違和感が退職代行検索につながる流れ

退職理由の構造変化

新卒が「辞める」と決断する背景の変遷を整理しました。

現代の新卒者は、“働くつらさ”ではなく“嘘をつかれた”という感覚に強く反応する。
裏切られたと感じた時点で、心は会社から離れる。

情報が溢れる時代において、「期待値」が常に高止まりしている。
新卒者は“比較対象が少ない状態”で入社するため、1つの条件ミスが「全面的な不信」へと拡大しやすい心理構造を持つ。

長期休暇明けに退職が集中するのはなぜ？

「GW明けが最も依頼が多い」という退職代行モームリの声は、偶然ではない。
精神科医・益田裕介氏は、「決断エネルギー」という概念を挙げる。

人は疲れているとき、大きな決断を避ける。しかし休暇で体力が戻ると、逆に“動けてしまう”。
回復した心身は、「もう限界だ」と自分に正直になる。

さらに「パーソナリティ機能」が未熟な若者は、困難を“対処”するより“回避”しやすいという。
退職代行は、その“選択肢”として社会に存在している。

新卒の多くが「誰にも相談せず」退職代行に至る背景には、「相談の経験値の少なさ」がある。
「親に言うより、代行に任せた方がラクだった」という声は、もはや例外ではない。

• エネルギー充電期＝休暇中に決断力が高まる

• 回避的傾向の強い人ほど“代行”を選びやすい

• 相談ではなく“即決・実行”の手段として普及中

退職決断の心理

1. 入社直後に「違和感」が生じる

2. 忙しさで判断を先送り

3. 長期休暇で冷静に自分を見つめ直す

4. 「もう無理だ」と確信する

5. 検索→退職代行依頼→即日完了

“自分で言えない人”が悪いのではない。
問題は、「それを責める社会」の方だ。
退職代行は、「声を出せない人にも出口を用意する」という“構造の安全弁”なのだ。

退職代行は社会にどう映るのか？

声を出す者だけが評価される時代。
だが、言えない人は本当に“弱い”のだろうか？──

退職代行という装置は、「黙って辞めたい」のではない。
「ちゃんと伝えたいが、直接では心が壊れる」からこその選択だ。

これは甘えではない。社会が設けるべき“選択肢”のひとつなのだ。
私たちは「誰もが直接交渉できる社会」より、「誰でも辞められる社会」を選ぶ時代に入っている。

退職代行は、沈黙の中に置かれた“問い”である。
声なき声が制度に変わったとき、それは“時代の輪郭”になるのだ。

FAQ

Q1：退職代行は違法ではないの？
A1：弁護士資格のない代行業者が「交渉」まで行うと違法ですが、「意思の伝達」だけなら合法です。

Q2：新卒で辞めたらキャリアに傷がつく？
A2：現在は“転職前提社会”であり、初期の離職は「ミスマッチ修正」として受け入れられる傾向があります。

Q3：なぜ相談しないのか？
A3：「相談する力」が未発達な若者も多く、「代行を検索する方が早い」構造が生まれています。