ロングセラーお菓子「たべっ子どうぶつ」がまさかの映画化。SNSで「どうやって物語に?」と驚きが広がる中、裏では5年がかりの制作と“ファンづくり”の企業戦略が進行していた。ギンビス社長が語る、味の記憶と文化創出の舞台裏とは?
たべっ子どうぶつ
映画化
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あのお菓子が映画に――。
子どもたちの記憶に残る「たべっ子どうぶつ」が、3DCGアニメーション『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』として2025年5月、ついに全国公開された。「かわいいだけが取り柄のどうぶつたちが世界を救う」――SNSを中心に驚きと期待が交錯する中、その裏には“文化創出”を視野に入れた長期戦略があった。ギンビス宮本社長の言葉をもとに、ロングセラー菓子が映画へと至った背景を深掘りする。
なぜ「たべっ子どうぶつ」は映画になったのか?
▶映画化の背景とブランド戦略の要点
見出し | 要点 |
---|---|
映画化の経緯 | SNSで「お菓子が映画に?」と話題化 |
ブランド構想 | 「ファンづくり」中心の戦略で展開 |
公開日設定 | 5月5日=創業者の誕生日+記念日に連動 |
味の記憶 | 思い出に残る味を守る努力を継続 |
メッセージ | 「お菓子に夢を」理念の体現としての映画化 |
▶SNSで生まれた“逆輸入的バズ”の正体とは
映画化の一報が出た際、SNSでは「どんな物語になるの?」「お菓子で映画?」という疑問と期待の声が一気に広がった。
この“半信半疑の好奇心”こそが、ファン層の拡張に直結した。企業の側からではなく、ユーザーの驚きが宣伝となる現象は、現代型マーケティングにおける重要な起点となっている。
▶たべっ子どうぶつの進化とブランド戦略
時期 | 主な展開 |
---|---|
1978年〜 | ロングセラー菓子として定着(日本中心) |
2018年〜 | グッズ・音楽・ゲーム・ポップアップショップ展開 |
2025年 | 映画化+25カ国以上での販売+IP戦略の完成形へ |
▶公開日が5月1日になった“記念日戦略”の裏側
「5月5日は“たべっ子どうぶつの日”であり、創業者の誕生日でもある」――
宮本社長のこの発言からも分かるように、映画の公開日は単なる都合ではなく“意味を持った日付”として選ばれている。これにより、企業の物語とファンの記憶が重なる設計になっている。
どのように映画化が進められたのか?
▶企画の起点から公開までの流れ
[営業車にキャラクターラッピング]
↓
[プロデューサーが街で目撃し着想]
↓
[脚本制作に3年/制作に5年]
↓
[社長も週次で打ち合わせに参加]
↓
[2025年5月 映画全国公開]
▶営業車という“走る広告”がもたらしたブランド効果
映画のきっかけは、キャラクターが描かれた営業車をプロデューサーが街で目撃したことにあった。
10年前から進めていたラッピング戦略は、社員の誇りにも、街の話題にもなっていた。さらにトミカ化・SNS拡散など、「企業×生活圏の交差点」としての役割も果たしている。
どうやって「お菓子」から「文化」になったのか?
▶カフェ・音楽・イベント…“体験”が生んだ再接続
ポップアップは3年間で約250店舗、累計来場者数25万人。
さらに秋元康プロデュースの公式ソング、表参道でのラグジュアリーカフェ展開など、「お菓子+体験」でファン層をZ世代にも拡大した。単なる消費物から「文化財」への脱皮が進行している。
ポップアップ:全国展開し入場待ちも発生
音楽:秋元康氏が総合プロデュース
表参道カフェ:ルイ・ロブション監修で高級化路線
▶“映画化”はゴールではなく、長期戦略の通過点だった
「たべっ子どうぶつ THE MOVIE」は、単なるアニメーション作品ではなく、ギンビスのIP戦略における**“文化的拡張”の証明フェーズ**だと位置づけられる。
宮本社長の発言にもあるように、「お菓子に夢を」という企業理念は、菓子を通じた“感情接点”の創出を意図しており、映画化はその一手段にすぎない。
実際、ギンビスはすでにアパレル・音楽・イベント・教育コンテンツと、IPの水平展開を着実に進めてきた。映画化はその延長線上にあり、“IPの核となる世界観を映像で可視化した”ことが最大の意義だ。
本作で重要なのは「かわいいキャラが動いた」ことではない。
味の記憶・平和の象徴・親しみのデザインといった、「たべっ子どうぶつ」が内包してきたブランドのエッセンスが、映像として明確な“文化記号”へと昇華された点にある。
映画化はIP戦略における「中間到達点」
商品→体験→物語→映像という段階的ブランド拡張
映像によって“世界観=共通言語”が完成
商品と物語が双方向に記憶を強化する構造に移行
▶「平和産業」としてのお菓子の力
映画には“かわいい”だけでなく、「愛と平和」という一貫したメッセージが込められている。
たべっ子どうぶつは、戦争や不安の多い現代において、食を通じて安心感を届ける“平和産業”の象徴でもある。
▶「味の記憶は、幼少期の避難所だった」
甘味とは、安心だったのかもしれない。
たべっ子どうぶつは“商品”ではなく、“記憶”のかけらだった。映画になったのは、その記憶が社会全体にとって必要なものに変わったからだ。
変わらない味は、変わる社会の中で、ひとつの「物語」になった。
それがこの映画の、本当の意味なのかもしれない。
▶注目ポイント整理
見出し | 要点 |
---|---|
営業車から映画化へ | キャラを見たプロデューサーが着想 |
制作背景 | 脚本に3年、制作に5年/社長も密接に関与 |
ファンづくり戦略 | グッズ・音楽・表参道カフェで拡張 |
平和と記憶 | “味の記憶”と社会的安心の融合へ |
FAQ
Q1:なぜ映画化されたのですか?
A:ギンビスの長年の“ファンづくり戦略”の一環で、ロングセラーを「文化」として育てる構想が背景にあります。
Q2:本当にお菓子だけが題材なんですか?
A:はい、ただし世界滅亡を救うストーリー仕立てとなっており、キャラが強く映える設計になっています。
Q3:他社キャラも登場しますか?
A:ポリンキー(湖池屋)やうまえもん(やおきん)など、業界オールスター的な展開も見られます。
Q4:海外展開は?
A:すでに25カ国以上で販売しており、映画の海外展開も検討中です。
▶記事全体の総括ポイント
要素 | 要点 |
---|---|
背景 | SNSで話題化→ブランド構築へ |
社長戦略 | ファン拡大・味の記憶の継承 |
映画制作 | 営業車から始まった5年プロジェクト |
文化創出 | 表参道・Z世代・平和と安心をテーマに拡張中 |