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報道写真が捉えたのは、“命の刹那”だった。
2024年7月、ドナルド・トランプ氏が演説中に銃撃を受けた瞬間、その背後をかすめる弾丸がカメラに映った。ピューリッツァー賞報道写真部門を受賞したその1枚は、報道とは何か、記録者とは誰かという問いを再び世界に突きつけた。偶然ではなく、意志によって残された「8000分の1秒」の真実とは──。

この“記録の奇跡”に、私たちは何を読み取るべきだろうか。

なぜこの写真が世界を驚かせたのか？

どんな瞬間だったのか？

2024年7月13日、アメリカ・ペンシルベニア州バトラー。大統領選の遊説に訪れていたトランプ氏の演説中に、銃声が響き渡った。
会場は一瞬にして騒然とし、混乱に包まれる中、ニューヨーク・タイムズのカメラマン、ダグ・ミルズ氏はシャッターを切り続けていた。

その結果、世界が息を呑んだ1枚が生まれた。写真には、トランプ氏の背後をかすめて飛ぶ銃弾の軌跡が鮮明に映っていた。

approach.yahoo.co.jp

技術的にはどれほど困難だったのか？

撮影に使用されたのは、特別な高速度カメラではなく、一般の報道用カメラ──ソニー製のデジタル機。
それでいて、8000分の1秒という高速シャッターが、まさにその瞬間を捉えた。1秒間に30フレームの連続撮影。まさに「奇跡」であり「決断」だった。

FBI元要員マイケル・ハリガン氏は、「このシャッター速度なら弾丸は12センチ程度しか動けない」と証言。だからこそ、“その間に弾丸を写す”など現実離れしているという。

この一枚が報道の本質を示す

シャッターを切る──その行為に宿るのは、ただの“記録”ではない。
逃げることもできたその瞬間、ミルズ氏はファインダー越しに命を見つめていた。

この写真は、“事実を伝える”という報道の本懐を象徴する。SNSやフェイクが交錯する今だからこそ、「見る」「残す」「伝える」行為が、社会の真実を支えている。

• 📸 撮影者の判断は一歩間違えば命の危機

• 📈 この1枚はNYTの読者数を大幅に伸ばした

• 🧠 記者の役割が再評価される契機となった

ピューリッツァー賞の基準とは？なぜこの1枚が選ばれた？

選定委員会は何を評価したのか？

ピューリッツァー賞報道写真部門の選考基準には、「社会的影響力」「速報性」「芸術性」が挙げられる。
しかし今回の受賞は、単に“映っていた”だけではない。

委員会は「記録者の覚悟」を高く評価した。銃声の中でもシャッターを止めず、逃げる代わりに“見続けた”その行為自体に、報道写真の未来が宿っていたと述べている。

「見たくないものから目を背けない」
この精神が、報道の信頼を守るのだと証明するかのように。

【写真が選ばれた流れ】

1. トランプ氏の演説中に銃撃発生

2. 弾丸が頭部の背後をかすめて通過

3. ミルズ氏が8000分の1秒で撮影

4. NYTが即日掲載→世界的な反響

5. 報道倫理・緊迫性が評価され、受賞

他にどんな報道が受賞したのか？

NYTと他メディアの成績は？

今回、ピューリッツァー賞は2025年5月6日（現地時間5日）に発表された。報道写真賞のほか、ニューヨークタイムズは計4部門で受賞。
報道の中には、アフガニスタンにおける民兵による市民虐殺、米軍支援の裏でタリバンの支持を高めてしまった実態を詳細に追ったシリーズも含まれる。

また、ワシントン・ポストは、今回のトランプ氏暗殺未遂を速報かつ深層で報じた功績により、速報報道部門を受賞。

一方、最も権威ある「公共サービス報道賞」は非営利メディア「プロパブリカ」が、妊婦への医療拒否実態を追った調査報道で受賞している。

報道が人の命と社会構造を変える可能性を、私たちはまだ過小評価しているのかもしれない。

記録者の背に、未来は乗る

報道写真は、事実の断片に過ぎない──そう考えていた。
だが、この1枚の存在が、それを否定する。

「8000分の1秒」は、人間の選択の記録だ。
逃げず、シャッターを切る。そこには“見届ける者”としての覚悟がある。
報道とは何か。真実とは何か。
この写真は、我々にそれを問いかけてくる。

FAQ

Q1. 8000分の1秒のシャッターって普通のカメラで可能？
→ 可能ですが、精密な設定と運が必要です。

Q2. 撮影者は危険ではなかったの？
→ 非常に危険でしたが、記者としての本能でシャッターを切ったとNYTが報じています。

Q3. ピューリッツァー賞はどれだけ権威があるの？
→ 報道・出版界で最も権威ある賞の一つとされています。

Q4. 他に注目された報道は？
→ 医療放棄の実態を追ったプロパブリカ、タリバン報道のNYTなどが高く評価されました。