北海道警の40代巡査部長が、勤務中にスマートフォンで海外のオンラインカジノを利用し、計3600回以上賭けを行っていたことが発覚。減給処分および書類送検に至りました。本人は違法性を認識しながらも「負けを取り返したかった」と供述。警察官の倫理観とギャンブル依存症の問題に、社会がどう向き合うべきか問われています。
巡査部長が
オンカジ賭博
広告の下に記事の続きがあります。ペコリ
巡査部長、勤務中にオンカジ3600回賭け 「負けを取り返したくて」道警が処分と送検
巡査部長がなぜ処分されたのか?
勤務中に何をしていたのか?
北海道警釧路方面本部管内の警察署に勤務していた40代の男性巡査部長が、勤務時間中に海外のオンラインカジノにアクセスし、賭博行為を繰り返していたことが明らかになりました。道警は5月14日、この巡査部長を単純賭博容疑で札幌区検に書類送検し、減給100分の10(6カ月)の懲戒処分を下しました。
巡査部長は自身のスマートフォンから、勤務中を含む複数の時間帯にオンラインカジノを利用。とくに2023年10月から12月の間には、駐在所での勤務時間中に5日間賭博を行っていたとされています。
なぜ発覚したのか?
この事実は、道警が別件捜査の過程で巡査部長の行動を確認したことにより発覚しました。本人も容疑を認めており、オンラインカジノにのめり込んでいた様子が詳細に語られています。
彼が賭けに使用していたのは、海外の違法サイトであり、日本国内の法律においては明確に違法とされているものでした。こうしたサイトは匿名性が高く、摘発の難しさが課題とされてきました。
賭博の頻度と金額は?
送検容疑によると、巡査部長は2023年10月から2024年5月までの間、計約3600回にわたり合計8万8000円を賭けていたといいます。しかし実際には、2021年から2025年1月にかけてスロットやルーレット、バカラなどで約100万円を賭け、約70万円の損失を出していたことが監察官室の調べで分かっています。
特筆すべきは、2022年ごろにはすでに違法性を認識していたこと、さらには勤務先の警察署内に「オンラインカジノは違法です」と明示したポスターが掲示されていたにもかかわらず、「負けた分を取り返したくてやめられなかった」と語っていた点です。これは典型的なギャンブル依存の兆候といえるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
懲戒処分 | 減給100分の10(6カ月) |
送検容疑 | 単純賭博(2023年10月~2024年5月) |
賭け金総額 | 約100万円(裏付け含む) |
賭博回数 | 約3600回(主にスロット・ルーレット) |
違法認識時期 | 2022年ごろ(警察署内の啓発ポスターを確認) |
✅ ギャンブル依存症とオンラインカジノの危険性
今回のケースでは、動画サイト視聴をきっかけに賭博にのめり込んだという供述がなされており、SNSや動画によるギャンブル誘導リスクの現実が浮かび上がりました。とくに「負けを取り返すため」という心理は、依存症特有の思考パターンとして知られており、単なる規則違反にとどまらず、精神的なケアの必要性も指摘されています。
また、違法と知りながら継続していたという点からも、警察内部での啓発活動や心理面での教育が十分でなかった可能性があります。再発防止の観点から、個別のカウンセリング制度の導入や、定期的なオンラインリスク講習などの制度設計が求められます。
SNS経由でのギャンブル勧誘に注意が必要
オンカジ依存は「負け取り返し型」が多い
公務員への啓発は心理面からの再強化が必要
オンラインカジノはなぜ問題なのか?
オンカジの違法性とは?
オンラインカジノ(オンカジ)は、多くが海外にサーバーを置き、日本国内からインターネット経由で利用される形式です。ユーザーにとっては「手軽な娯楽」に見えますが、日本国内では刑法185条に基づき「賭博罪」が適用され、日本居住者が参加する行為自体が違法とされます。
この点については、過去の刑事裁判でも「賭博場が国外にあっても日本でアクセスした時点で違法」とする判例が確立されており、道警もこの立場を明確にしています。
巡査部長も2022年頃にはこうした違法性を認識していたとされており、違法と知りながら行った継続的な賭博は、刑事処分だけでなく、懲戒の対象ともなったのです。
警察官の倫理観が問われる理由
警察官は、公務員としての法令順守義務に加え、市民の模範となるべき存在です。今回の事件では、その立場にある人物が、自己の欲求を抑えきれず法を破るという、「裏切り行為」が明らかになりました。
とりわけ勤務中の賭博行為は、職務放棄や公務怠慢の疑いもあり、道警内でも非常に重く受け止められています。これは単なる個人の問題ではなく、組織としての倫理体制の弱さを示すものでもあります。
見出し | 要点 |
---|---|
▶ オンカジの違法性 | 海外運営でも日本での利用は賭博罪に |
▶ 職務中の行為 | 警察官が勤務時間中に賭博 |
▶ 組織への影響 | 信頼低下と倫理体制の見直しが必要 |
▶ 問われる再発防止 | 教育・監督体制の強化が急務 |
① 動画サイトでオンカジを知る
↓
② 2021年からプレイ開始(私的時間)
↓
③ 2022年ごろに違法性を認識
↓
④ 勤務中も賭博 → 3600回実行
↓
⑤ 道警の捜査で発覚
↓
⑥ 書類送検と懲戒処分
どう再発を防ぐべきか?
道警の対応は?
道警の佐々木博信監察官室長は、「職員に対する指導、教養を徹底し、再発防止に努めます」とのコメントを発表しました。今後は、倫理教育や心理支援、オンライン依存に関する研修など、より現実的かつ継続的な予防策の導入が求められます。
特に、若年層や動画・SNSに接触しやすい職員への対策が急務です。こうしたメディアの影響を軽視せず、警察内での「現代的リスク教育」を拡充する必要があります。
社会全体への警鐘とは?
この事件は、警察官という公人でさえもネットギャンブルに引き込まれる危険があることを示しています。社会全体にとっても、依存性のあるデジタル賭博がいかに身近で危険なものかを強く印象づける事例です。
今後は、法規制の再整備だけでなく、プラットフォーム側の責任も問われるでしょう。オンカジを放置する環境そのものに対して、国家レベルの対処が求められる段階に入っています。
この問題を考える上で重要なのは、「違法」と知っていても人は行動を止められないという現実です。特に公務員や警察官という立場にあっても、心理的負担や環境要因により、理性を超える依存症的行動が起こりうるという点に、私たちは向き合う必要があります。
人は正義の看板を掲げながら、時にその裏側で欲望に手を伸ばす。
警察官であろうが、画面の向こうに転がるルーレットの誘惑には抗えなかった。
「負けを取り返したい」という言葉は、すでに賭けの世界に魂を売った者の決まり文句だ。
私たちは、この事件を「異常」と切り捨てるべきではない。これは社会のひび割れの中にある、小さな断層のひとつなのだ。
問いは残る。この男が本当に失ったのは金か、それとも信頼か。
❓ FAQ(よくある質問)
Q1. オンラインカジノは海外運営なら合法なの?
A1. いいえ。日本国内からアクセスして賭けを行った時点で、刑法上の賭博罪に該当します。運営元が海外でも関係ありません。
Q2. なぜ勤務中にスマホで賭博できたの?
A2. 巡査部長は駐在所勤務で1人の時間が多く、業務監視が難しい状況だったとみられます。
Q3. どれくらいの金額を失ったの?
A3. 総額約100万円を賭け、約70万円の損失とされています(裏付け含む期間:2021〜2025年1月)。
Q4. 今後このような事件をどう防ぐの?
A4. 道警は倫理教育の徹底とオンライン依存対策を強化するとしていますが、実効性や組織体制の改革が求められます。